納付に関するミス

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納付に関するミス

相続税を一括で納められないときの延納手続や、金銭以外での納付である物納など、税理士が納付手続において責任を負うケースを紹介します。

納付期限を徒過してしまった場合

相続税の納付期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内ですが、税理士のミスにより、相続税の納付期限を徒過してしまった場合には、延滞税等、申告者が被った損害について税理士に責任をとうことができます。

延納手続にまつわる税理士の責任

相続税は、金銭での一括納付が原則です。しかし、相続財産が不動産である等、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、相続税を年単位で分割して納付すること(「延納」といいます)ができます。ただし、延納には延納額に相当する担保の提供が必要であり、また、延納期間中の利子の納付が必要となります*。

納税額が高額にのぼり、期限までにその納付が困難である等の事情がある場合で、税理士がそのような事情を把握している場合には、税理士は依頼者に対して、延納制度を説明し、延納許可申請の手続をするかどうかについて、依頼者の意思を確認する義務があります。この義務を怠り、延納手続という選択肢を示さなかった場合や、不十分な説明しかしなかった場合には、税理士の責任が認められることがあります。

この場合の損害額はケースによりますが、一括納付ができずに延滞税を負担した場合は、延納許可を受けた場合の利子税額と延滞税額の差額を損害として、税理士に請求することができます。

*延納の要件次に掲げる全ての要件を満たす場合に、延納申請をすることができます。
(1) 相続税額が10万円を超えること。(2) 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。(3) 延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。(4) 延納申請に係る相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。

物納手続にまつわる税理士の責任

相続税は、金銭での納付が原則です。しかし、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、一定の相続財産(不動産や株式等)による物納が認められています。 

ただし、物納制度は要件(金銭納付が困難であること、物納に適する物件があること等)が厳しく、要件の充足について慎重な判断が必要です。

また、物納の場合、不動産の価額は相続課税評価額(相続税を算定する際の評価額)で算定され、時価より低額になる場合が多く、不動産を市場で売却してその代金を相続税に充てた方が物納制度を利用するより申請人にとって有利になる場合があり、物納の利用の適否には慎重な判断を要します。

さらに、物納の申請には、要件の充足を示すための多様な資料を準備する必要があり、相続開始から原則10か月以内という短期間にこれらの資料を準備することは容易ではありません。

以上のとおり、物納制度の利用には税理士等の専門家の判断が必要であり、物納制度の利用につき不十分な調査、説明しかなく、利用の適否につき十分な情報を得られず、利子や延滞税等の損害が発生した場合には、税理士にその責任をとえる場合があります。

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